[ゆらり。目の前の銀髪が揺れれば見知った顔。
目立つその髪色もこうして夜の鮮やかな花達に囲まれても其れに劣ることは無く。よくそんな髪色で変な男に目ェ付けられないのか、と時折不思議になるくらいで。]
……“また”かィ?
花の寿命は何とやら、と云うけれど――、
アレはもう少し金になると思っていたのにねェ、
――勿体無い。ああ。勿体無いよ。
[やれやれ、と首を横に。昨今流行っているらしい梅毒は着々と遊女を食い、その被害は少なくはない。売れる上臈が病に食われると上客に売りつけるのにも躊躇いが生まれるのもまた事実。
さて、どうしたものかと煙管を口に。ふぅ、と吐く煙は何処か寂しげに。]
なに、其れは――金を落とさねェ貧乏人にでも売れば良い話、か。
物欲し気に花を眺める奴らにゃァ、其れでも浮世の土産話くらいにはなるだろうさ。
(131) 2015/01/19(Mon) 17時頃