―神の霊峰バイロン―
[ネルフェリウスの亡骸と、ロビンと、タバサ。その光景を見ながら"私"は考えていた]
‥‥私にその感情はわからない。
私は『愛』というものを知らない。
目の前で起きているこの光景。
魔女は誰かを愛していた。この少年もネルフェリウスに何らかの愛情を抱いていた。
情愛。博愛。慈愛。親愛。偽りの愛。愛憎。
『愛』とはなんだろう。私は『愛』を知っているか?
"私"という名になりつつある《運命(フォルトゥナ)》は多分愛を知っているはずだ。
『女神の愛《ディーヴァ・カリクス》』。
それは『真理の鍵《クラーウィス・ウェリターティス》』と同様に世界を導くもの。
複合に集積されし星の叡智の殿堂《セラエノ・パビリオン》に記録された事象の中に、その言葉はあった(>>121>>122)。
では私は?超上位種たる私に『愛』という概念はあったか?
存在しないのか、それとも――――
(130) 2011/06/10(Fri) 22時頃