ー1階廊下ー
[階段の方へと歩を進めると、先ほどまで自分が身を潜めていたあたり、テラスに面した廊下。その扉が開いている。]
……へぇ、
[そっと扉へと近付いて、壁に身体を隠すよう試みながら、部屋の様子を伺う。
場合によっては、手榴弾を一発、投げ込んでやろうかなどという考えは、場の膠着状態を見て立ち消えた。
ーーたった2つの【手段】とやらを、潰し合ってくれそうな人間に使うこともなかろう。
それに、一触即発の状態に下手に首を突っ込んで、巻き添えを喰らってはたまったものではない。]
……あ、
[そこで、漸く先ほどの声の主と、今ダイニングに立つ女と、アパートで時折会話を交わした隣人が結びつく。
なるほど、アンタだったのか。
それ以上、深くは考えないことに決め、再び気配を殺してキッチン側の廊下の階段へと向かう。
扉の方を見ていた人間がいれば、気付かれたかもしれない。]
(128) 2014/06/23(Mon) 09時頃