― 地下墓地―[形のない意識は、今と過去の狭間をたゆたう。手で触れられそうなほど鮮やかに蘇るのは年端もいかぬ、幼い娘の面影。戯れに見逃した、取るに足らない獲物。] ( あれが、あんなにいい女になって戻ってくるとはな。 二度目に会った時、あいつはなんと言ったんだっけか )[笑みの揺らぎと共に追憶に遊んでいた意識が別のものへと向けられる。わずかに触れてきた気配へと意識が伸ばされ、闇のざわめきが静まり、小部屋が沈黙に沈む。]
(128) 2012/04/28(Sat) 17時頃