〔ケヴィンとは彼の部屋の前で別れる。直接問うことはなかったが、彼の目が良くないらしいことは暫く行動を共にして悟っていた。
せめて玄関まで、と言ってくれる彼を押し留め、部屋を出る。玄関から彼の部屋まではほぼ一本道、迷うこともないだろう。〕
迷った……
あるえ…?やっぱり一度戻って道を聞き直して……どっちから来たっけ?
〔日が落ちた屋敷内は薄暗く、昼間のそれとは違う表情を見せた。どの廊下もどの扉も見覚えがあるように見えてしまう。〕
通り過ぎる……と見せかけてこの部屋だぁっ!!
(ガチャッ)
……ふ、運のいい奴め。(訳:間違えた)
…ぐすっ…(泣きそう)
〔心細さに耐えきれずリンダが一人遊びをしながら進んでいくと、他とは違う、無機質な扉が見えた。普段当たったこともない第六感があの部屋にだけは近づくなと囁く。どくどくと心臓が早まる。
何かに突き動かされるように。リンダは冷たい扉に手をかけた。〕
(127) 2013/08/01(Thu) 21時半頃