[追儺の家は戦時中に皆野瀬市の土地の多くを所有していた地主の家系。昔からこの地に愛着を持っている家なのだ。かつては武士であったとか父に家系図を見せられてはいたが、沙羅はそう深く受け止めているわけではない。
至祈展家とほぼ肩を並べるほどの財力を持ち合わせている追儺家。そちらの話も色々と聞くし、何せそこの息子とは同じクラスだ。とはいえ、学校で姿を見ることは少ないのだけれど。
紅杜の家系がこの皆野瀬に学園を設立するという計画を持ち出してきた際は、全面協力をして所有する土地を提供した。その時の色褪せた写真を沙羅は見たことがある。曾祖父の話なので祖父から聞いた話ではあるのだが、それ以降、紅杜の家系とは深い繋がりを持っている。俗にいう、家族ぐるみの付き合いというやつだ。追儺の家のすぐ近くに邸宅を構えているという事もあり、ひ孫である相良黒臣とも随分と長い付き合いとなる。別に家の裕福さで人付き合いを変えるような追儺家ではない。追儺の家は、人と人との繋がりを大切にしているのだから。]
(125) 2022/09/03(Sat) 11時頃