[姉は、何も聞かなかった。家族を思い出しては涙に濡れる夜もあったけれど、何も。もう戻れないのだと思っていたから、思い出すほどに辛くなるだろうから、女のほうから過去を語ることは、なかった。もしかしたら、噂話で少しは彼女の耳に入ったのかもしれなかったが、触れてくることもなく。そのうちに涙も減り、使用人に隠す化粧を頼むこともなくなった。あの頃を思い出すたび、恥ずかしさと、言いようのない思いが胸にこみ上げる。彼女のことを、姉として、愛しく思う。だからこそ、これ以上の無用な心配をかけさせぬよう。] 本当に。素敵な一日に、なりそうですね。[>>112立ち去る姉を、微笑みを返して見送った。]
(125) 2012/01/09(Mon) 00時頃