……さっきからネチネチネチネチと……挟み撃ちが好きな奴だなお前は……ッ、
だが、これは幸いではあるのかな。
"獲物"を捕らえるのは――これでも一応、得意なんだ。
[先程は、剣。今度は"俊足生物≪バンダースナッチ≫"か、と。二体で攻撃を仕掛けるのは、非常に憎らしくはあるけれど、それでも実に理にかなっている。
先程は、それでこの足の傷を負った。回転の加えられた剣を止めるには、この糸では少しばかり役不足ではあったから。
だが、しかし。飛んでいる獲物を捕らえるのならば話は別だ――それは蜘蛛の、十八番。
咥えたままの水煙管の口から煙を吸い。
その間に右手を剣ごと大きく振り上げて地面との間にありったけの糸を伸ばし、腕と地面との間に単純で簡単な、しかし大きな巣を作りあげる。
突貫だったものだから多少歪になりはしたものの、それでも俊足生物≪バンダースナッチ≫を絡め取るくらいはきっと出来るであろうから。
巣が出来たのならば、もう其方は決して振り返る事はしない。何故なら意味が無いからだ――獲物が巣に掛かるのならば良し、掛からないのならばもう自分に防ぐ手立てなど無いのだから。]
(124) 2015/06/25(Thu) 04時頃