[>>115これまで誰にも触れることの無かった身体が、その体温で溶かされていく。
首筋に息のかかる感触を感じながら、ディーンは彼の首筋に触れていた手も、空いたままのもう片方の手も、戸惑いがちに背中に回す。指先が緊張を示すように、少しずつニコラの背中の線をなぞって、輪郭を確かめる。
このまま首筋から食い千切られて、咀嚼されて、硬い背中の中にある内臓で溶かされて――。
もう物語も、文章も、ディーンの脳裏に浮かぶものはない。
衝動の代わりになるものはもう要らない。]
……ニコラ、
僕を、食べてくれ
僕は、君に 食べられたい
[吐息に混じるのは、消えそうなほど小さな囁き。
>>113庇護すべき大切なものも、>>118唯一の幼馴染も、全てを捨てるに等しいことだと分かっていても――懇願せずには、いられなかった。]
(124) 2014/11/17(Mon) 22時半頃