─ 車内 ─
[オークションで買われ、差し迫った分かりやすい生命の危機が去った今、おそらく他の男性客達よりも女のグロリアの自由は少ないのだ、と言う事を、言葉の端々からイアンは知って行く。]
──自由ね。
別荘にあんたはずっと居られない?
[自分は時折訪れるグロリアを待ちながら、彼女の義理の息子に殺される事を恐れながら、別荘に監禁される事になるのだろうか、とイアンは思う。イアンが男だから殺されると言う予想から推察するならば、義理の息子はヘテロセクシャルで有るが。命の綱渡りは続くようだ。]
俺はもうこの世には居ない人物になってるんでしょ。
なら、殺人をおかしても罪にならなさそうだけど。
それが駄目なら、別荘には、ブロンズ像と猟銃と
アイスピックは置いちゃいけないね。
密室殺人事件の定番のアイテムだから。
[飢えた目をしたまま、刹那的な笑みを頬に浮かべた。
取られて朱唇にとらえられるイアンの指先。ハングアップの姿勢。]
(123) yummy 2010/04/16(Fri) 03時半頃