…………まあそういうことでー。
[うつむき気味だった顔を上げて、にこやかに笑って告げる]
黒猫を連れ出すんだったら僕に任せてください。頑張ってハゲの大家さんやヅラのディーンさんの目をごまかす手段を考え――ってもうそんな時間なんですかピッパさん!?
一緒に来ますから、――すぐに準備します40秒とまでは早くできませんけどっ!
[ピッパさんの横で慌てる僕。
とっさに黒猫を抱きかかえたまま自室へと戻り出かける支度をして、]
いい、絶対ここを離れるんじゃないよ、絶対!
[通じるかどうかわからないけれど強くそう言い聞かせて、ピッパさんと一緒にクリーニング屋へと急いだ。
あの時、僕の部屋に続く扉の前に黒い猫の毛が落ちていたとしても不思議ではなかったわけだけれど、そのことに思い至ったのは、けっこう後のことになる――]
(121) 2011/08/11(Thu) 23時半頃