― 使われてない教室 >>113 >>114 ―
んン……
[ジャケットをかけられて、ヤニクは夢をみる。
まだまだ子供のころのこと。
甘えた盛りだが、甘えるわけにもいかなかった。
自分の運命のため。
自分の身で日本に留学する分金を稼ぐこと。
ヤニクが父王に与えられた一つの命令だった。
子供なので、出来ることは多くはなかった。日本語・日本文化・日本の法律の勉強が平行して、パイーパティのこともおろそかにできない。父王は武術にも格別厳しかった。まあそれも日本が占いで出てしまったせいだった。
それはもう格別に慌ただしかったのである。
監督する大人は多くても、ひどく落ち込んだことの多いある種のトラウマ時代。
多忙や緊張からだったのだろうか。体調を崩し熱も出て、死ぬほど泣いて拗ねて一日使い物にならなかったある日、先生がずっと抱っこしてくれていたこと。―――……]
(120) 2018/04/02(Mon) 00時半頃