―→教会 ――
[おかみさんに連れられて、教会の扉を潜る。
異様とも思える雰囲気の中、村長の言葉は妙に静かに、重く聞こえた]
[どよめき。戸惑い、嘆き、憤る人々。処刑、投票、そんな単語が行き交う。
どこか他人事のようにそれを眺めて。常の自分なら、どうしていた?
奇妙な熱気に包まれて、頭の芯は冷えていくばかり]
……ばっかみたい
[ぽつり、呟いた言葉は、あまりにも不謹慎な。
――不謹慎な盛り上がりを見せる教会の空気が、まるで滑稽な舞台の上のようだったから]
帰ろう、おかみさん。話ってあれだけみたいだし。
……サイモンのお墓、できたら、お参りしようね。
[簡単に乗せられて、踊らされて、怯えたり夢を見たり。
そんな役者に数えられることすら不愉快だ、と言わんばかりに、
下手くそな笑い方をすると、そっと教会を後にするつもり]
(120) 2013/08/02(Fri) 16時半頃