…――地下、かなァ。
[問われた場所には、ぼんやり空に咲く月を見上げて囁いた。
その近くにまた銀月が咲き、あの儚い瞳に薄膜が張っていることなどついには知らず。
ただ刹那の銀月を追う心をままに、低く掠れた声色は、何の色も覗かせずに。
「…ちょっと、気になることがあるんだよね」
其れは正しく、”夢物語”の頁に亀裂を入れることにさえなり得るだろうけれど。ただ空の花籠を想い出しなから、庭花を愛でる花には其の本意を伝えぬ様、曖昧に暈しては追及されぬようにと笑みを硬くし。]
嗚呼、でも。着替えるのが面倒なら、どこでも。
[――申し訳程度に尾鰭を付けた言葉には、印象誘導をかける様に美麗なそこに苦笑を滲ませ謀ってみたり。
そうして何れとも返事を貰えたならば、土に濡れた軍手を除かせ、自分の手に乗ったちいさな手を引き廊へと足先を乗せ、また同じ場所に花の体を引き上げてみせただろうか。]**
(119) 2014/09/18(Thu) 02時半頃