[くたりと意識を失った待雪の。
慕しい面影は思い沈むようでいて、
眠る姿はゆりに安堵を齎すだろうか。]
《ヒホー。オイラ人間界は初めてだけどぉ。》
《そんじょそこらのアクマと一緒くたにされちゃ困るホホ。》
《強くてワルくてイケイケフェイス!ジャアクフロストだホ!》
《ワルは契約者からそのままマグネタイトを頂くものホー。》
《ムシャムシャしたった怒りと憎しみはうまかったホー。》
《でもマツユキじゃあすぐガス欠するから次からは血を貰うホ。》
[MAGすなわちマグネタイト。悪魔が存在するため摂取する、いわば食事だ。それは人間の強い感情だったり、人間の肉体そのもので会ったりする。例えば悪魔の転生体や人間に憑依することで効率的に得ることができるが、なによりも膨大に得られる方法は、現在市内にて行われている悪魔の軍勢による大量殺戮、多量の血を流し、人間の魂を食らうことである。]
《くんくん、でもオマエ、オイラたちと同類ホ?》
《マツユキ【契約者】に手を出したら丸焼きにしてやるホー。》
[ジャアクフロストはワルな目つきを尖らせて、
抱えた待雪を持ち直す。けれど歩調はなんだか間抜けであった。]
(118) 2016/06/16(Thu) 23時頃