クク……別にね、『ZerO』の力を私のモノにさえできれば、組織の形が大きく変わろうが、先代の意思を踏み躙ろうが、どうだっていいのよ。
機会があるなら、金と力とジジィがもってる「ソレ」で脅しをかけて、尻尾振ってくる連中を引き入れてから独立するでも構わない。
[力を得るのに、何も「継ぐ」事のみに拘る必要はないのだ。
ハナから、忠義などありはしないのだから。]
さァァーー、そろそろよ!!
気張ってかかれ、野郎どもォォ!!
[だが、声を上げる女は気付いていない。
『月』における精鋭たち――特に、古株と呼ばれたり親の代から組織に属している者たちの内、少なくない数が自派閥の長に対して良い感情を抱いていない事に。
彼らは、今回の強引な抗争に対しても士気は低く、中には組織の古参であるブルーノへの恩を抱いている者もいただろう。
若い女が『月』の長である事を示すエンブレムを左胸に着けている事に不満を抱いていた者も――。]
(117) 2010/03/22(Mon) 21時半頃