こんなもんか。
[静寂の中で漸く声を発したかと思えば"作品"は出来上がる。肌寒くなる気温に抗う様に暖色系の花を主とした花籠。椅子から立上り、他の花籠と同様に並べて"それ"は売り物として変化を遂げた。]
"あら、可愛い。また作ったの?"
"…お前はなんつーか…、花って似合ってないよな。"
"お前さん。そんなあんたがこの中で一番似合ってないよ。"
[男が並べていたのを見ていたのか、男女の声が耳に届く。その声の持ち主は店の主である夫婦。茶色かがった長髪の髪型で溌剌な女性を尻目に僅かな顎鬚を蓄え気怠そうな男性。男性の発言に反応をした女性が一言ちくりと小言を言うと黙ってしまった男性を見て、笑いながら挨拶を]
あぁ…、帰ってきたんですね。
おかえりなさい。
[この店での日常光景。そして今日の仕事終わりを意味し、先程までの静寂が嘘の様に賑やかになる。]
(117) 2014/10/01(Wed) 19時頃