[カチ、カチ。朝の部屋の中に、時計の針ととラジオのノイズが鳴り響く。
男は何時ものように新聞を読みながら、机の上に置かれた携帯端末をチラリ。
――昨日は確かに有益な情報は得られたけれど、やはり文字のやり取りは性に合わない。
それでも幾度かその画面へと指を滑らせたのなら、男はまた紙面へと視線を戻す。]
………、?
[そうして、聞こえてきたバイクの音に立ち上がるも、何故だかその音は"何時も"と違ったように聞こえて。玄関へと向かい掛けた足を急遽、出窓のサボテンの方へと向ける。
そうすれば、案の定。家の前の人影は、あの"サービスの良い郵便屋"の姿ではなく。
まさか彼女が有給を貰っている>>98とは知らぬ男は、肩を竦めてソファの上へと戻って行っただろうか。
そうして何事も無かったかのように、未だ残った珈琲と、残りの新聞を読み始める。
時計の針は何時もよりも遅れた時間を指してはいたけれど、どうせ今日も休暇を取っているのだから。]
(116) 2014/10/03(Fri) 18時頃