[生まれたのは、3番目だった。
でも、生まれてすぐ、2番目は死んでいたらしい。
特例は認められるのか、と母親は交渉したらしい。
けれど、認められない。
だから、物心をついたときから、食われることが名誉なのだと教えられた。
大神様に、召し上がられよと…。]
――……それが、使命であるならば。
[本来ならば、働き手として立派な体躯を持つ青年だ。
実際、祭の前までは、普通に畑を耕し、薄暗い森に薬草を摘みに行く。
だが、祭の準備が入れば、その身はそれまでとは違う扱いを受ける。綺麗な湯に入り、全身を磨くのだと…。
畑仕事をしていた青年は、持ち前の金糸に椿の油の染みる櫛を通され、アクアブルーの眸が生えるよう、眉も揃えられた。
高い背、喉仏、筋肉の適度についた身体に、白い正装が施されるのを黙って受け入れて、最後家族に礼をするのだ。
帰ってくることはないかもしれないけれど、
この身は、村に一族に捧げるのだと、改めて、告げて…。]
(115) 2012/03/14(Wed) 13時頃