[嗚呼、此方の国では獅子は見られないものなのか、と。故国にある動物の収容されている施設を思い描きながら、ぼんやり考えた。
知らず冷ややかな視線を向けていただろうか。五月蝿い相手が縮こまれば>>107、僅かに気も持ち直すというもの。
けれどまるで喜ばしげに続けられる押さえた声には、何とも調子が狂わされてしまう。
言葉の中にある棘を、この少年は理解していないのだろうか?いいや、していないからこんなにも無邪気なのだろうけれど。昼間に助けた彼といい、こういう手合いには、どうにもペースを崩される]
…………そう、ですか。ええ、可愛らしいですよね。
生憎、僕は猫を抱いた事もないんですが。
[動物と子供には嫌われる質だから、生まれてこのかたペットというものを飼った事は無く。それ故、猫が好きというのもただ外見やその性質を指したもので]
ふわふわ、ね。
それは確かに、暖かそうで宜しい事です。
[少年の言葉に感化されたからだろうか、軽い口調で言って肩を竦める。
良い気分ではないが、悪い気分ではなかった。少なくともまあ、今後彼が店を訪れても追い出さないくらいには、認めてやっても良いかもしれない]
(115) 2015/01/19(Mon) 14時半頃