[その手を振り払われなければ、暫くそうさせてもらっていただろう。やがて朧が苦々しげに告げる言葉に、僅かに驚いて]
朧さんの水に、濁り・・・?
ちょ、ちょっとまってね!
あの、明くんはやっぱり月詠ができたの?
[この明の部屋と鏡を見れば何となく察しはついていたのだが、やはり確信が持てなくて。そうだ、と答えが返ってくるならば、女は足元ががらがらと音を立てて崩れていく心地がした]
(祟り神)
(襲われた月詠の使い手)
(朧さんの水の変調)
[道中考えていたことも相まって、女は自分の導きだした答えに嫌々と頭を振り、違う違う!と否定する。
けれど一度感じた疑惑は、和紙に落ちた墨の様にじわじわと広がっていき。耐えられなくなった女は思い切って朧に打ち明けようとする。が、はたと今日出会った時からの彼の神様の様子を思い返して。
今目の前でもう還らぬ友人にこんなにも心を痛めている男が。
自分の咎だと責め続けるであろう彼が。
――――――祟り神なわけがない]
(114) 2013/08/14(Wed) 18時半頃