─診察室>>87の前─[──勿忘草病。その名を実際に耳にしたのはいつ頃だったか。人の記憶を糧にして咲き誇る花々。“私を忘れないで” 頬に伝うしょっぱいもの。 割れたフィルム。 千切られた紙片。割れる騒音。断続的な記憶が突如として膨らむのは、種がまだ足首に植えられる前。]死ぬ、ことは…ない?[医師の言葉>>92を繰り返す。このサナトリウムに入る前から聞かされていたかもしれない話。だというのに男には、初めて聞いた。そんな響きを持っていて。]
(114) 2014/09/06(Sat) 22時頃