─好いてなど、夢を見てなど…決して、ない。[何度も否と呟きながら目尻を擦り付けて濡れた甲を乱雑に拭い取れば、霞む視界にて見える金月。誘われるまま、ふらふらと窓辺に近づけば、月下蝶の香り>>42を色濃く感じた気がして。覗かせた場所は中庭。月下の元櫻の傍に佇む蝶の姿を視界に入れる>>106>>111]……ええ、判っています。判ってる。…わかってた。[ぶつぶつと一人部屋にて呟く独り言。血が滲むことなど構わず、爪を立てた掌はそのままに、一度硬く瞼下ろしては息を吐く。間も無く濡れた睫毛が上がれば窓辺には一瞥も暮れずに背を向けて。身を裂くような冷たき牢へと*足を踏み入れた*]
(113) 2014/09/18(Thu) 01時頃