[――と、その時、一人の男と目が合った]気持ち悪い。[人間が樹木の上に居る事に目を見張る男に、所作だけで相手の額へ向け中指を弾く。途端、くたりと崩折れた男を冷ややかな瞳で見詰め、音も無く軽い動作で樹から降りる]やっぱり人間は、嫌いだね。[男が倒れても、誰も彼を見ようとしない。否、見えていて見えないフリをして通り過ぎて行く人波を一瞥し、その場を去る]同族を助けもしない。神と崇めた動物でさえ自分の利の為だけに追い、殺す。奴等は、救われなければならない。[それが出来るのは主である長だけだと。改めて心を固め、救われざる羊の群れの中へと*歩を進めた*]
(113) 2011/12/13(Tue) 02時半頃