……え?血……?
…あ、多分さっきのかな…。
[ 一歩、二歩。後退る彼女に、そう言えば、と『無かった事実』を思い出したかのように、納得して。分かってもらおうと、後ずさった距離を一歩、二歩と詰める。 ]
怪我してた人がいたから、少し手当してあげてたんです。
さっき二階の銃声…聞こえました?それで、撃たれて逃げてきたという人が居たんで。
服に血はつかなかったんですけど…、多分それで匂いが残ってるのかな。
[『二階の銃声』は広間から聞こえたもの。
恐らく、彼女は見ていないし、その正体も知らないと判断して――、『さも見て来たかのように』作り上げる。その嘘に関する躊躇いや罪悪は無い。]
……やっぱり、こんな状況でも怪我をしてる人って見捨てられなくてさ。そんな甘い事を言ってたら、真っ先に死んじゃうのかもしれませんけど…。
[そう言って――、警戒心のない、力の無い笑みをへにゃり、と]
(112) 2014/06/23(Mon) 01時頃