[自然界の中には、帰省本能を持つ動物も多い。
近代に入り、自然と一線を隔してしまった人間にとっては、きっと薄まりきってしまった古の力。
けれど、人もまた大地から誕生した生命である以上、たとえどんなに弱まってしまったとしても、その力が消失してしまうことはありえない。
きっと、断ち切れないしがらみのようなもの。
思えば自分たちが10年の時を超え、こうして集った現実さえもが、隠された能力がもたらした恩恵だったのかもしれない。
たとえその効力は、ほんの一端であったとしても。
そんな思いが、自分の中に宿っていたどうかは、定かじゃない。
ただ、勢いよく開かれた扉の先。
あらわれた懐かしい彼の姿を目にした瞬間、口からこぼれたのは、ごく自然な、出迎えの言葉だったことは確かだ]
あ、おかえり。
……って、あぁ! びっくりした!
もう。おどかさないでよ……。
ヤニク、戻ってきてくれたんだ。今、こっちに住んでるの?
[ボディランゲージを交えながら、少しゆくりとした口調で話した。
ついでに、乾杯のポーズを交えて、何か飲む?と]
(111) 2011/08/26(Fri) 20時半頃