―敵船・甲板―
[男は武器を持たない。
銃は扱いを覚えられず、剣は扱いの乱雑さが故にこれまで何本も無駄にした。斧や槌やと持たされるものを素直に試しもしてきたが、何を持っても結局は、振りかざし振り下ろし潰す事に変わりがなかった。それなら何も要らんと、近頃は身ひとつで殺る。]
壊セや 殺セや 奪エや
[重い拳で敵の頭蓋を殴りつけ、グラリ傾いく身体を掴んで首を圧し折る。最初の一人を壊している間に、目立つ丸腰の存在はすぐさま敵に囲まれた。(>>@29)]
ア゛ッ ァ ア゛ッ ァ
[これちなみに、本人としては笑っているつもりである。聞くものの耳にはただの濁音としてしか届かぬだろうが。大男は、仕上がったばかりの屍を盾に、人熱れに突進した。時には奴らが落とす剣を振り回し、切断した頭を投擲し、甲板に血の泥濘を作っていく。]
(110) 2014/12/07(Sun) 21時頃