…――斧って、森に迷った姫と談話して、猪の心臓を狩るわけでもあるま、い…し…。…
[彼の答えには、そう、合格点は、あげられない。落第点とさえ言い難い。学生は新しい道を、未知を開く彼の思考に少しだけ尊敬の念さえ示しました。まるで本来の物語を捩じ伏せる言葉たち。
『その先に備わっていた、元からのお噺に興味はないの』『斧は何に使うつもりなの』、そんな事は聞くまでも無く。悪く言えば傍若無人に自分だけの物語を綴ろうとするなんて――ああ、全くどうして、「おかしい」ものなのだろうか。]
昨日と云い、今日と云い…、…非日常でも来るのかなあ。
[学生は目を閉じ、追憶に身を委ねました。然しそれも短い間、再び、否今度こそ正しく差し出された手の平に、のどに言葉を詰まらせるのです。それはどんな意味があるの、現実から抜け出すことなんて、出来ないことは知って居るからこそ――だからこそ、実際に歩を進ませるのは怖い。学生はここで来る臆病さに、小さく自嘲を漏らしてしまいました。
それでも、動かないことには…、現実から迷子になることも出来ないのでしょう。]
(109) 2014/10/03(Fri) 17時半頃