――あ、おいちゃん![いつの間にか、前には一人しかいなかった。追いかける必要もないほどに、距離は縮んでいた。切羽詰まった叫びが込み上げた理由も分からぬままに、気付けば名を呼んでいた。前に進むこともなく、彼女はそこにいる。ものも言わず佇むその姿だ。その姿にこみ上げるものに、まだ名を付けられずにいる。] あおいちゃん、[どうして、と問いたいのは、他の何でもない。出口について、この世界の勝手について、知っていた理由なんて、どうだって良い。――どうして、立ち止まってしまったの。どうして、ここまで来て、眩いひかりの、その目の前で。同時に、思い出すのは、信ぴょう性の欠片もない言葉。――嗚呼、そのまま目を覚まさぬ人もまた、いるらしい。]
(107) nabe 2015/02/12(Thu) 01時半頃