[変なの、学生は自分がその場面を作り出したと自覚しながら、抓る自分の手を柔に叩く彼>>91の歪んだ表情に言葉を渡したことでしょう。回らない呂律はどうしても、その不協和音の為に頭に残り、学生の腹の底を擽って来ます。暗灰色の瞳が怨嗟に染まっているのを見付けると、態とらしく視線を逸らしてみることも忘れずに、然し笑みは崩さずに余裕綽々とさえ取れる雰囲気でただずむのです。
して、伸ばそうとしてるのか、どうか、兎も角動く彼の腕には――如何反応しよう。学生はその短い間に、鈍間に脳を走らせました。すこし、すこしだけ、敏感にその所作にびくりと震えてしまったことは――気付かれてなければ良いのに。願望さえ心中に埋めました。彼の薄ら笑いが消えたことには、相当にこの頬の赤は衝撃的なのね、と、何処か客観的に物事を述べるのです。]
(107) 2014/10/03(Fri) 17時半頃