くっ、上手く聞き取れないわ…。
[それほど離れてはいないはずなのに、耳に届く音の量が少ないのは、雪に吸い込まれているせいだろうか。
盗み聞きがよろしくない趣味なのはわかっている。
しかし最近のマドカの様子はおかしかった。
何かを考え込むようにしてるかと思えば、必要以上にはしゃいで見せたり。
あろうことか、頬に涙の跡が残っていたことすらあったのだ。
そして彼女の心をそんなに揺さぶる存在は、一人しか知らない。]
マドカを傷つけるようなことがあれば、見過ごすわけにはいかないわ…。
[必死で耳を凝らすと、予想とは反した方向から、声が聞こえてきた。>>101]
ちょ、ちょっと!静かにしてよ!
[自分の運動神経のことも忘れて慌てて駆け寄ると、小声で怒鳴りつけるという器用な芸当を披露する。
二人に今の声が届いたかどうかは分からない。]
(106) 2013/12/15(Sun) 23時頃