― ホーム ―
[一人の優男が、ホームを抜け。駅のトイレへ向かう。行きかう人々は気にもしない。貴公子然とした上流階級風のルーカスとは違う。何処にでもいるような、男を気にする連中もおらず>>69>>93土産物屋横をすり抜けて
向かったトイレ内。
布鞄から取り出したのは、女性ものの化粧品。
顔に化粧を乗せれば、女性に見えるように化けていく。特徴の無い顔は紅が乗りやすく、目立つ喉仏と短髪をベールで隠し。目立つ男の身体はゆったりとした服で覆っていく。履く靴は高く
――違和感は覚えるだろう。
だが、之で良い。先ほどよりも更にルーカスという男から遠ざかり。大柄の女が其処には立っていた。]
グロリア、…にはもう似ないか。
[そっくりであったのは、10代後半に差し掛かるまで。
随分と歪になってしまった。見るだけで違和感を覚え、喋れば、男であることはすぐにばれるだろう。
だから、此処からは慎重に行かなければいけない。
動くのは、ほんの数刻。
其れに誰も紳士然とした男だとは思わないはず、先入観だ。男だと気づいても、上流階級風の彼だとは予想もつかないだろう。]
(105) 2015/11/30(Mon) 21時頃