ー回想ー
…貴方の手は怖い。
[孤児院に引き取られて暫くして、初めて教会へ行った時。牧師が頭に伸ばした手を「私」が見れば、恐慌状態になった。親から受けた仕打ちを、「私」は記憶していない筈なのに受け入れることの出来なかった手。今普通に考えれば…自分を害しはしないと分かる筈なのに。
「私」が泣きそうになりながら牧師の腕を掴んだ所で私に切り替われば、すぅと表情は落ち着いただろうけど…目は細まって今思っても幼子ながら彼の目を覗き込むようにした筈。]
私は要らない子だから捨てられた。なのになんで生きているのか分からないの、「私達」は。
…でもお父さんでもお母さんでもないから私は貴方に叩かれるのが嫌。反抗だってするもん。
[この頃は、未だ難しい言葉は知らなかっただろうから、言っている事は大した事は無かったと思う。
でも私を見つめるその目には、何処か今迄と違う色が見えた気がした。
手を振り払ってから少しすれば「私」が戻って来るのを感じたから、私は「私」を見つめる所へ戻った。その後「私」は「あれ、なんで泣いてるんたんだっけ?」なんて言いながらきょとんとしていた。]
(103) 2015/04/16(Thu) 16時半頃