人狼議事

156 カイレミネ島の雪


【人】 FSM団 ミナカタ

― 回想 ―

[最初にここを訪れたのは、島での生活を初めて数年経った頃か。
診療に出かけたじーさんの帰りを待って一人遊んでいたら、通りかかったまだ若い夫婦に、夕飯に誘われて。
その女性の腕には、まだ歩くことができない赤ん坊が抱かれていた。

じーさんが迎えに来てくれるまでの間。
夫婦と赤ん坊と、囲んだ食卓。夫婦の途切れない笑顔。温かい食事。赤ん坊のぐずる声。

ああ、両親とは。家族と言うのはこういうものなのだなと。
じーさんと二人の生活に、不満があったわけじゃない。
けれども。ずっと何か足りないような、ぽっかりと空いた穴を自覚したのはたぶんその時。

目の前にいるはずの三人が、ガラス一枚隔てた向こう側の景色のように見え。ただひたすら、羨ましさを含んだ目で眺めていた。

――帰り際に、赤ん坊に服を引っ張られて振り返る。
微笑む女性に、またきてね、と言われ。頷いた。

この家で夕飯を食べたのは、その一度きりのこと。]

(101) 2013/12/21(Sat) 21時頃

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