―まどろみの駅・ホーム―
[降りた駅は、ありきたりな無人駅のホームだった。今は少し珍しいかもしれないけど、それだけで何の変哲もない古びた無人駅。
現実と変わらない駅で、それでも一際異彩を放つのは、やっぱりというか、満開の桜の巨木だった。]
綺麗……。
[小さな声で呟く。薄桃の花を纏う桜はとても綺麗だった。太く力強い樹木と対照的に、舞い散る花弁はどこか儚げで、幻想的という言葉がよく似合う。
暫くぼうっと見ていたが、隣にイアンさんがいるのを思い出して慌てて振り返った。]
ここから、どうしましょうか。
どこかに移動しますか?
[その時、桜の木の傍にひとりの男性が立っているのに気づいた。>>96 黒いスーツを着た人。
ようこそと言われて、雛子はきょとりと首を傾げた。]
貴方は、誰なのでしょうか?
[不思議な雰囲気の人に、少し緊張した。*]
(101) 2019/02/09(Sat) 20時頃