[ 目の前で急に固形のパンのようなものを食べだす男。>>93
さすがの彼女も、思わずほっと息を漏らす。
目の前の男が何者であれ、今は争う気はないようだ。]
攻撃してきたらって、うちはよう攻撃してませんえ。
そないな言い方しはって、てんごなお人どすなあ。
せやけど、物騒なことにならんで、よおしたわあ。
うち、もう行かせてもらいます。
[ ふと、思い出したように言い足した。]
もし、このくらいの白い……黒うなる石を持ってはったら、すぐに粉々にしてしまはるんがええどすえ。
この喧騒は、それのせいやないかと、うちは思うてますん。
[ 言い足して、ぺこりとお辞儀して、おもむろに上空に向けて矢を放った。事前動作なしに。
すぐさま上空を浮遊していた“鬼”が落ちてくる。
ぐしゃ、と嫌な音がする。
彼女は男にまた一瞥をくれると、すぐに立ち去った。
尋ねられれば、名前くらいは言い残したかもしれない。*]
(101) 2016/06/16(Thu) 21時頃