人狼議事

215 【誰歓】エンドローグ


【人】 ろくでなし リー

――そして、学校の端々を彩る桜色もすっかり見えなくなり、暫くして、騒々しい蝉の鳴き声も止み。
屋上も時々薄ら寒い空気が漂うようになった頃だったっけ。

  『 リーくん、演劇に興味ない? 』

すっかり少女が屋上の一角に居ることに慣れてしまった臨也へ、そんな提案が持ちかけられたのはその頃のこと。
屋上から見下ろす校庭の端々にも、遠くに見える町並みの中にも、橙色がぽつりぽつりと日々混じっていく中、その言葉は想像だにしなかったもので。柄にもなく驚いたのを憶えている。

それでも、戯曲や演劇を鑑賞することが嫌いではなかった臨也は、興味があると答えたのだった。明日香に告げていないことではあったけれど、共働きの両親は深夜過ぎまで家に戻ることはなく、閑散とした家の中、七色の羽の鸚哥だけが長い間、男の話し相手であったから。
何時の間にか、鸚哥相手に戯曲の一節を郎じてみたりなどすることが臨也の密かな趣味であった。

(101) 2015/02/04(Wed) 05時半頃

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