あのさ、――
[纏う雰囲気の割に、相手の背は意外にも自分より低く。どことなく年上のような気がしつつも、その背恰好の前に"アンタ"か"あなた"で呼び迷って。
――結局、どちらも取り下げた。]
… その靴は何て? …ゲタは知ってるんだけど、
[返事を待つ合間に物珍しさに負けた視線が、控えめに相手の服装を、手元を眺め回す。
抱えられた食材類らしき物の重さはどれほどだろう。
決して、長話をするつもりはない。
だが、両袖に浮かんだ皺が――か細い腕を連想させた。]
(――ちゃんと食べてそれなんだ)
[週の食事の3分の2を食パンで済ます人より、か細いのでは。
栄養がどう働くかなんて大して知らないけど。でも、スゴい。
俺の胸の中だけだからと、無礼な感想を浮かべてしまえば。肺に溜められていた空気が、ふわり、軽くなった気がして。
薄く浮かべていた眉間の皺は、いつの間にか消え去っていた。]
(101) 2014/10/01(Wed) 16時半頃