― 公園 >>59 ―
[佐藤青年は三瀬智美に声をかけられ家から出る。未だ女性とのお付き合いというものをしたことがない佐藤青年は、溜まり場に居座る女性陣が何人いようとも、未だに歩く際やや広めにパーソナルスペースを確保する。馬鹿め、家主になって女性にお泊りをされて慣れると思ったか。これが全く慣れない。地味に緊張だってする。だが緊張を要することには慣れつつあるのである。
歩くというほどの距離もなく、ごくごく見慣れた自宅の真西に位置する公園に到着した。]
こっちに集まってたか。
どうもどうも。おはようございます。
[去年は半分散りかけの桜、灰色の空と冷えた空気であまり外では楽しめなかったものだが、今年はどうだ。
見上げれば日向ぼっこをするように白い陽光をぬくぬく浴びた淡いピンク色の桜をつけた枝。
桜の色によく似合った春の爽やかな青色の空が広がっている。
まぶしさで目を細めているうちに眠くなってきそうな、絶好の花見日和と呼べるものではなかろうか。
このまま天気が崩れないことを祈りたい。佐藤青年はスマホで天気をチェックする。どうやら晴れ続けてくれる予報ではあるようだ。夜までは。]
(100) 2017/02/21(Tue) 13時半頃