[少女の元>>91から去り。青年の股を潜り抜け。
もひとつおまけに紳士>>95の脇を通り抜け、
赤毛の少女に衝突未遂を起こし。
尻に火の付いた猫の様に、二等車両をぱたぱたと駆け抜けていった少年に気付いた者は他にどれほど居ただろう。
彼等にも『薄汚れた一人の子供』を認識されてしまった可能性が高いが、それどころではない。
辿り着いたのは、二等車両と一等車両の間にある御手洗だ。
二等車両と三等車両の間にも有ったのだが、そこに少女の目の前で駆け込む訳にも行かなかった。
小さな個室の扉を勢い良く閉じれば、そこは薄暗闇に包まれる。
そっと、先ほど少女から貰った紙袋と瓶を傍らに置き、
もう一度ザックを開けば、そこには。]
っっ……ま、え…っ。
[余程その金属が気に入ったのだろうか。
ご丁寧にかの眼鏡のツルを3つに齧り折っている真っ最中の鼠の姿があった。
少年は、ぎり、と歯を食いしばる。
怯えや怖ればかりだった彼の表情に、鋭い色が通る]
(100) 2015/11/29(Sun) 23時頃