―― 広間で ――
ごめんくださーい。
[豪奢と表現する程でもないけど、整った大広間にひょっこり顔を出す。
それでも僕は高い天井にあまり馴染みがなくて、油断すると首が痛くなりそうだ。
仕事を始めれば首が痛いなんて言ってられないけどね。
カーペットが敷かれた空間には幾らかの人影がある。
けど、その誰もが、使用人でも主人でもない『お客さん』の雰囲気を纏っていた。
……あれ、どういうこと?パーティーの開催日っていつ?
首を小さく傾いでいたら、僕の背後で扉がぎいと音を立てた。>>92]
……!
ああ良かった、ここのお嬢さんですか?
[彼女が頷いたら、街から派遣された掃除夫ですと自己紹介をする予定。
それにしても、綺麗なひとだ。
柔らかなラインのドレスに長い金髪。
ごみを拾い集めて暮らしている僕には、一生縁のない世界の人なんだろう。]
(99) 2016/10/07(Fri) 23時頃