[追うか。どちらにしろ、廃村・ノアへと辿りつけば出会える相手ではあろうが。
律義に墓標を組んでいることからも、人の死には敏感な魔法使いなのかもしれない。
ただでさえ、この先は土砂降りの雨。その上この出来事が重しとなっていたとしたら……魔法使いといえども、誤りは起こりかねない。
しかし、すぐには向かわない。まずは思いっきり体を震わせ、毛にたまった水気を弾いていく。
さらに、軽く飛び跳ね魔法を解除。
体を覆っていた毛皮が再びヴェラの首へと戻る]
やっぱり、雨は嫌いだ。
[毛皮が重くてたまらない。白毛を首から外し、手で絞り、残りの水気を排除する。
『外側』だけでも重いのだ。まして『内側』まで濡れてしまえば……]
濡れない場所以外では、当分狼のまま、だな。
[巨木の上で、魔法を解除しなかった理由も、濡れるのを嫌ったから。
仮に誰かと出会い、会話が必要となったなら、まずは樹木の下や雨避けとなる場所まで移動しなくては。
改めて思いなおすと、再び白狼の姿となり、再び雨の境界線へと飛び込んでいった**]
(99) 2013/06/11(Tue) 01時半頃