―自宅―
[朝食の後、台所からはシンクを叩く水の音が響く。
時計を見れば、出勤前のいつも通りの時間。
ただこの日一つだけ違う事と言えば、昨日上司から有給のお達しを受けたこと。
珍しく仕事が遅れてしまったのを心配されたのだが、怒られると思っていた…はなおのこと不甲斐なさに落ち込んだ。
洗い物が終われば、音を立てて閉まる蛇口。
名残惜しそうに垂れる雫を背中に受けながら…は便箋が置かれた机の前に座る。一つに纏めた髪を解いて一枚の白紙に視線を落とした。
万年筆を手にとって、紙に先端を走らせる。
ペンの摩擦音と刻む秒針だけが部屋に響く。
–––––相変わらず「時計の家」>>48>>49では正確に時が刻まれているのだろうか。ああ今度はちゃんと謝れるといいな。
いつもよりほんの少し時間は遅れるけれど、公園近くのカフェで菓子折りでも買って行こう。]
(98) 2014/10/03(Fri) 16時頃