[覗き込む顔は、初めて見る人ならおぞましくも思っただろう。 だけど、咲き切れず無惨に散った跡が露出するそれを、 一つ一つ、アッシュグレイの瞳で見詰めながら。 慌てたように真っ赤な薔薇を捕らえる手] (こんなになってまで、……。 まるで本当のピエロみたい)[途切れ途切れに紡がれるノイズ混じりの声。 背けられた顔を、目玉を潰してしまわないよう こちらに向けようと手を伸ばす。 差し出された薔薇、もうすぐ死ぬ、その言葉に。 零れる赤で、地面に文字を描いた] 『笑わなくて、いいんだよ。 悲しいなら泣いて。 痛いなら泣いて。 私は、お花さんのほんとの顔が見れる方が、嬉しいよ』
(96) 2011/10/25(Tue) 23時半頃