-病院を抜けて-
………はー、だから寒ぃんだよ。クソが。
[いつもよりかは多少身体は軽い。咳も暫くは心配しなくて良さそうだ。本来ならば、真っ直ぐ店に戻っても良いかもしれないが、折角だしもう少し寄り道していこうか。>>88 遅くなりそうならば、黒猫に一方を入れれば良い。
冷たい風に抗うようにマフラーを再度巻きつける。髭との相性が悪いのか、やたらとチクチクする。そう言えば黒猫は、このマフラーはアルパカの毛と言っていた。アルパカってなんだ。羊と何が違うのか。]
………この辺りだっけか?
[およそ歩いて一時間弱。狭いアパートが旧友と妹の家だった。もう家の主は居ないのか、アパートは静まり帰っていた。尋ね人は、今日は旧友の方ではなく。寧ろ妹の方だったのだけれども。]
居ねぇ、か。
[諦めてアパートに背を向ける。
ポケットからいつもの様に煙草を取り出し、口に咥えた。
清涼感のあるお気に入りの甘い煙草。けれども、なんとなく物足りないと感じるのは気のせいか。
>>70 近所に出掛けるような簡単な恰好で家を出た彼女に、果たして自分は逢えるだろうか?]
(96) 2014/12/06(Sat) 19時頃