[イアンの喉笛に辿りつけなかったのは、あくまでそこで力の限界に達したため。
打ちつけた肉球も、精一杯攻撃の意図を込めたもの。
巨大な肉体の傍を落下しながら見上げた顔は、魔物と魔法使いとして再会した時から同様、感情の読みとれないものではあった>>94が。
名前を呼んだ彼の声を耳にして、見つめていた視線>>87をふいとそらした。
一方的な思いであれど、あわせる顔がない。
望んだ願い>>87は、もう叶わない。
そう察した瞬間、ヴェラは一方の手としてではなく、1人の魔法使いとして駆ける。
望んだ願いは放棄して。どんな手を使っても魔物の殺害を担う、1人の魔法使いとして。
警戒するは背後からの攻撃。
食らっても構わないとは思っていた。最後の瞬間に、自分の右手さえ届けばいいと。
ただ、少なくともしばらくの間は襲い来る気配もなく。
死に瀕したもう1人の魔法使いのもとへと、辿りついた]
(96) 2013/06/18(Tue) 02時半頃