[男は財布をそのままパーカーに突っ込み、手早く部屋の外へと。
相変わらず閑散とした室内が昨日までと変わった箇所といえば、小さな小箱。紺色のしっかりとした造りのもの。一瞥したのは一瞬。
すぐに鍵を回せばふと思い出す。
同階に住む隣人のこと。部屋はそこそこに近かったような気がする。隣であったかは定かではない。何せ男はあまり此処へ帰ることはなかったから。]
――…都合良く獣なんてこと、あるのかな。
[自分のような獣がそう何匹もいるとは思えない。ならば使う気は多い方が良い。ぼんやりと思考に暮れるつつ記憶を遡る。]
確かこの階に住む人で不登校だって
聞いたことがあったような。
[根も葉もない噂ではあるけれど、この建物にて過ごす時間が長いのなら出逢わせる可能性も高いかもしれない。]
――気を付けるに越したことはないね。
面倒だけれど。
[軽い調子で一言。何処からか迷いんだ小石を片足で蹴りつつ、ぼんやりと浮かぶ隣人の輪郭>>50を描きつつ、待ち合わせ場所のカフェへと足を運んだ>>85]*
(95) 2014/10/03(Fri) 15時頃