― 放課後 桃園学園・保健室 ―
[初日の授業が終わり、生徒達が部活やデートなど思い思いの時間を過ごしている頃。
若林は一日で減った備品の確認をしていたが、ノックの音で顔を上げて。若々しい理事長の姿を見れば、慌てて出迎える。]
ああ、理事長。
すみません、出向こうと思っていたんですけれど、ちょっと立て込んでいて遅くなってしまって。
[デスクの書類棚から取り出したのは、文化祭の安全衛生に係わる書類。出店で扱う食材の管理や、展示物や発表(化学実験を含む)の安全管理の計画書だ。分厚い。
それを確認お願いします、と笑顔で差し出しつつ、]
ああ、柊木くんのところ。
実行委員会の相良くん……は、2年生でしたよね。ええ、活躍は聞いていますよ。
今年も楽しみですね、文化祭。
なんだかいつもより活気がある気がします。
[おもしろ化学実験部の部長と、やる気に満ち満ちた文化祭実行委員の2年生(勿論、彼の噂も耳に入っている。そういえば、目元が少し理事長に似ている)――の顔を思い浮かべて、くすりと笑い。]
(94) 2022/09/03(Sat) 02時頃