[テーブルにやってきた少女が、ライブハウスのスタッフの男に尋ねた。
スタッフとは言え音楽を当然やっていて、ここでもセッションしているらしい。
頼んだジュース――残念ながら俺はアルコールが飲めない――を口に運びながら、そっと少女の方を見た。
知ってる、知らない顔だって。
多分俺よりも年下の少女。]
「今日は僕は楽器を持ってきてないんだ。
彼らに弾いてもらおうか? 最近うちで良くライブやってくれてるんだ」
[そう言って彼は、俺たちのバンドに話を振った。ギターが二人、ベースにドラムの4ピースバンド。
話を聞いたリーダーが、今度は俺に話を振った。]
「何か簡単なら? ヒュー、お前シンセは持ってたろ」
[言われて頷いた。ピアノは持ち歩けないから、バイトで買ったもの。
取り出すときに、スティックが落ちる。]
(93) waterfall 2013/01/14(Mon) 00時頃