[乗降口が開けば、外の熱気がむわりと車内に潜り込んでくる。
そこは、砂漠の荒野に佇む大きなお城。
沢山の線路が張り巡らされて居るものの、その殆どは人を乗せる列車の物では無い。
ほら今も、新しい列車が到着した。
背に沢山の手紙を積んで到着し、仕分けされ、また積んで出て行く。
屋根に空いた窓からは白く輝く鳩や手紙が忙しなく舞い込み、大きな大きな棚の中へ収まって。
ここはそういう星だ。
ゆったりとした服を身にまとい、ターバンを巻いた駅員(郵便局員かもしれない)が荷の積み下ろしを行っている。
あらゆる星の、あらゆる時間、あらゆる行き先の手紙が集う場所。
郵便中枢タスクバザール。
観光目的の星ではないものの、城の外――市街地では多くの露店が立ち並び、様々なレターセットが売られていることだろう。
勿論、砂漠特有の品々も、ね。]
(93) 2014/05/17(Sat) 01時頃